シリーズ分析

愛すべき作品をシリーズ化させたい。

誰もがそう考えるものですが、シリーズ化をしても視聴率を取れなければ意味がありません。実際、2005年1月期以降でシリーズ(パート2等)が制作された本数は100本を超えますが、前シリーズ初回よりも次シリーズ初回の視聴率が上げている確率は、47%です。恐らく、前シリーズより上がると思って編成していると思いますが、実際は50%以上の確率で、数字を下げていることになります。そこで、ここではシリーズ化で高視聴率を獲得する為の条件を考察してみたいと思います。

 

以下のリストは、

  • 連続ドラマ2005年1月期以降の民放G帯+テレビ朝日金曜ナイト
  • 枠昇格抜き
  • キャスト変更抜き(GTO反町さん→AKIRAさん等)
  • 特殊条件にあたる作品抜き(木村拓哉さん主演等)

をまとめたもの(の一部)です。

根気よく一覧を作成し、エクセルでいじくるだけでもパート2の初回視聴率には前シリーズの初回視聴率→最終話視聴率でいくつポイントを上げたか、が強い影響を与えていることがわかります。次に、このサイトではとにかく初回視聴率にのみ焦点を当てていますので次シリーズの初回視聴率予測式を作ります。

 

使用する変数は

  • 前シリーズ初回視聴率
  • 前シリーズ最終話視聴率
  • 前シリーズ平均視聴率  です。

 

それでは、各変数の相関係数を見ていきます。

 前シリーズ初回前シリーズ最終前シリーズ平均本シリーズ初回
前シリーズ初回1.0000   0.74760.8398  0.6893
前シリーズ最終0.74761.0000  0.9252  0.8041
前シリーズ平均0.83980.9252          1.00000.8136
本シリーズ初回0.68930.8041    0.8136       1.0000

 

本シリーズ初回と前シリーズ平均、前シリーズ最終が強い相関関係にあります。

 

散布図です。

 

この段階での重回帰分析結果は下記になります。

Coefficients:

(Intercept)前シリーズ初回前シリーズ最終前シリーズ平均
0.48383      0.064530.35457       0.54762

 

数式化

本シリーズ初回視聴率=0.48383+前シリーズ初回×0.06453+前シリーズ最終×0.35457+前シリーズ平均×0.54762

になります。

 

Multiple R-squared: 0.6812,         Adjusted R-squared: 0.6719
ですので、悪くはない予測式なのですが、相互作用モデルを考慮し、AICを使った結果下記になります。

 

Coefficients:

(Intercept)   前シリーズ最終前シリーズ平均前シリーズ最終×前シリーズ平均
-3.02554       0.53015    0.87825 -0.01261

 

 

数式化(決定)

本シリーズ初回視聴率=-3.02554+前シリーズ最終×0.53015+前シリーズ平均×0.87825+前シリーズ最終×前シリーズ平均×-0.01261

 

使用例

相棒13 最終話視聴率 20.3%
     平均視聴率  17.4% なので、

-3.02554+20.3×0.53015+17.4×0.87825+20.3×17.4×-0.01261=18.5639508(相棒14初回予測値)

実際の相棒14の初回視聴率は18.4%、となります。
(これはたまたま当たりすぎている例ですが)

 

 

数式化(決定)と本シリーズ初回の相関係数は0.83。
重決定R2は0.65程度です。

 

前シリーズ最終話の視聴率と平均視聴率だけで次シリーズの初回視聴率(事象)の65%を説明できてしまうことになります。65%なので、そこそこ高い精度を持っていますが、これだけでは結構外れます。ただ、この作品はシリーズ化するべきかどうか、次シリーズも続けるかどうかの判断基準としては十分使用できるのではないでしょうか。

 

逆に考えると、初回視聴率が低くても、平均視聴率と最終話の視聴率さえ稼げれば、シリーズ化する価値は十分にあると言えます。