同じクールで、テレビ東京金曜8の枠が、TBS日曜9時の枠に初回視聴率で勝つ可能性はあるでしょうか?
個人的な見解としては3年以内に実現する確率は、ほぼ0%だと思います。皆さんもまず不可能だと思ったと思いますが、それは何故でしょうか。
それは、それぞれの枠に、固有の力があるからだと私は考えています。
枠の力とは
- 放送枠の固定客及び歴史(視聴意欲、スタッフのモチベーションに影響)
- 裏番組、前番組の強弱
- 放送局の力の入れ具合(=宣伝力、予算規模、キャスティング)
を集約したものだと考えています。
2016年1月現在の数量化Ⅰ類を用いた予測式では、枠と初回視聴率の偏相関係数が0.66、t値が11.3、P値が5.16E-22となっていて、事前の企画アンケート調査と共に初回視聴率に与える影響度、信頼度共にトップに君臨しています。
それでは、各枠のカテゴリースコアを見ていきましょう。
2013年7月期〜2016年4月期のデータを元に算出
枠.TBS火曜10時 | -1.9 |
枠.TBS金曜10時 | -1.0 |
枠.TBS月曜8時 | -1.5 |
枠.TBS日曜9時 | +2.6 |
枠.TBS木曜9時 | -1.9 |
枠.テレビ朝日金曜11時 | -2.1 |
枠.テレビ朝日水曜9時 | +1.2 |
枠.テレビ朝日木曜8時 | +1.0 |
枠.テレビ朝日木曜9時 | +1.8 |
枠.テレビ東京金曜8時 | -0.9 |
枠.フジテレビ火曜10時 | 0.0 |
枠.フジテレビ火曜9時 | +0.7 |
枠.フジテレビ金曜8時 | -1.7 |
枠.フジテレビ月曜9時 | +1.5 |
枠.フジテレビ水曜10時 | -0.8 |
枠.フジテレビ日曜9時 | -1.1 |
枠.フジテレビ木曜10時 | -0.9 |
枠.日本テレビ水曜10時 | +0.8 |
枠.日本テレビ土曜9時 | 0.0 |
枠.日本テレビ日曜10時 | +0.1 |
右側の数値は、視聴率に影響を与える度合いで、そのままその枠が持っている視聴率ポイントだと思って頂いて構いません。また、同じ時期に同じ番組を違う枠で流したときにどれだけ差がつくか、という数値でもあります。
各局の傾向
TBS
日曜9時枠が好調なのであまり気になりませんが、実は他の枠力が弱い。
テレビ朝日
概ね好調。全局の連続ドラマ枠で上昇基調にあるのはテレビ朝日木曜9時枠のみ。(金曜11時は金曜ナイト枠のこと)
フジテレビ
実はそんなに悪くない。それなのに初回視聴率が低いのは、他の要素による所が大きい。但し、全ての枠で下降傾向にあるので、要注意。また、日曜9時の−1.1はまだ1本だけ(OUR HOUSE)なので今後大きく動く可能性がある。ただ、日曜9時はドラマを見る客が多くいる時間帯なのでTBSと裏表で勝負を挑むことが一概に間違いだとは言えない。逆に、月曜9時に他局が連続ドラマをぶつけてきた時は、かなりマズいことになる。
日本テレビ
極めて無難。今となっては、水曜10時が一番力のある枠になっている。
代表的な枠分析(2007年4月期〜2016年4月期)
フジテレビ月曜9時
列1 | |
平均 | 17.04057143 |
標準誤差 | 0.645886004 |
中央値 (メジアン) | 16.3 |
最頻値 (モード) | 22.4 |
標準偏差 | 3.821113129 |
分散 | 14.60090555 |
尖度 | 0.1651072 |
歪度 | 0.718026036 |
範囲 | 16.7 |
最小 | 9.8 |
最大 | 26.5 |
合計 | 596.42 |
標本数 | 35 |
信頼区間(95.0%) | 1.312598285 |
図中の下段にある1は2007年4月期「プロポーズ大作戦」下段37は2016年4月期「ラヴソング」の並びです。
y=−0.1846x+20.227
は単回帰予測式で、xに7月期(38番目なので38)を入れると、
y=−0.1846×38+20.227=13.2122になります。
じつはこれ、2016年7月期「好きな人がいること」の初回視聴率予測値にもなります。
これは過去の視聴率の動きからだけ予測している単純な式で精度もあまり高くありませんが、-(マイナス)がついている通り、このまま続けると1クール毎におよそ0.18初回視聴率が下がっていきます。(下がってきています)
(HEROの26.5%は外れ値と捉えることもできますのでそれを外すとマイナス0.2になります)
基本的にテレビ離れが進み、全体の視聴率が低下している傾向がありますので、ほぼ全てのドラマがマイナス推移になっていますが、、マイナス0.1を超えている枠はフジテレビ月曜9時とフジテレビ木曜10時の二枠のみです。
テレビ朝日木曜9時
列1 | |
平均 | 13.06666667 |
標準誤差 | 0.626472212 |
中央値 (メジアン) | 12.6 |
最頻値 (モード) | 9.3 |
標準偏差 | 3.431329624 |
分散 | 11.77402299 |
尖度 | 1.067408965 |
歪度 | 0.979500342 |
範囲 | 15.3 |
最小 | 7.5 |
最大 | 22.8 |
合計 | 392 |
標本数 | 30 |
信頼区間(95.0%) | 1.281279539 |
代表的な連続ドラマ枠の中で、唯一上昇基調にあるのがテレビ朝日木曜9時枠です。
(図中の数式の通り、1クール毎に0.12程度視聴率が上昇する回帰直線になっています)
また、先述カテゴリースコアでは、TBS日曜9時に続く1.8を出しています。
TBS日曜9時
列1 | |
平均 | 16.09333333 |
標準誤差 | 0.569511453 |
中央値 (メジアン) | 15 |
最頻値 (モード) | 19.4 |
標準偏差 | 3.119342695 |
分散 | 9.730298851 |
尖度 | -0.253426338 |
歪度 | 0.80357704 |
範囲 | 11.5 |
最小 | 12.2 |
最大 | 23.7 |
合計 | 482.8 |
標本数 | 30 |
信頼区間(95.0%) | 1.164781705 |
現時点で最も力のある連続ドラマ枠がTBS日曜9時枠です。理論上ですが、金曜ナイトドラマで8%取る作品をそのままTBS日曜9時で放送すると、12.7%になります。また、図中の数式のマイナス値も小さく、今後上昇基調に持っていくこともまだまだ可能です。